海外栄養士が解説!日本と海外の仕事内容を比較してみた。

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カンボジアにて栄養士として活動しています、nemu(@nemusblog)です。

日本の4年制大学にて食物栄養を専攻し、その後イギリスの大学院で栄養士に。

今年からは新卒として、”栄養士”が認知されていないここカンボジアで働いています。

以前、海外で栄養士として働くにはどんな選択肢があるのか?を以下の記事にて紹介しました。

【イギリス栄養士が教える】海外で栄養士として働く

今回は、就職して3ヶ月が経ち、海外で栄養士として働く中で見えた

仕事内容の特徴や日本との違いについてまとめてみました。

この記事を読んでくださる方へ

本記事の情報は、あくまで自身の経験や執筆当時の情報に基づいてまとめたものになります。
アップデート等随時対応予定ですが、記載内容等についてご意見・ご質問等あればお問合せフォームよりお願いいたします。🙇

特徴①現地の人にとって「おいしい」とは?まずは食文化を理解するところから。

一番難しくて楽しい、と思うのは現地の人と私の味覚が違う点。

異文化では当たり前のことなので、旅で海外に行っても特に気にもしない人も多いと思いますが、

私たちの指導は全て口からの摂取が左右する栄養士職。

おいしい、懐かしい、もっと食べたい。と思ってもらえなければ、

どれだけ健康の大切さを伝えても、栄養価計算して食事を準備しても なかなか結果に結びつきません…。


nemu
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完璧!と思って出した料理が、ちょっと変だと言われたりすることもあり、違う環境の中で過ごしてきた人たちの味覚を理解するのはとても難しいです。日本食レストランを営むわけじゃないですもんね…

ただ、栄養士らしい悩みが少し楽しかったりします。これが美味しいのか!と発見の毎日。

特徴②ビーガン、ベジタリアンにペスカトリアン?様々な食生活に配慮。

日本を一歩出ると、上記の食文化の違いに加えて

宗教や嗜好、伝統によって様々な食生活を営む人たちに出会います。

イギリスの大学院でも、宗教食の影響やビーガンの人たちへの配慮・対応について、どんな栄養課題でも考慮するのは当たり前。

栄養士です。と言うと、日常生活でも「わたし〜〜なんだけど、」という前提条件の上で、

様々な栄養アドバイスを求められ、日本では考えたことなかったのであたふたしてばかり…。

なんでそういう選択をしているのか?その人たちは、日常生活で排除されてしまうことはないか?

等、いろんな知識を持つことが必要だと感じます。


例えば

  • 地中海地域で難民支援を行う国際NGOでは、中東から逃れる難民に配慮した宗教食を提供したいのに、支援者側が配慮できていなかったために食べられない食料が届いて無駄になった
  • インドの国境地域の女性は貧血が多い。動物性食品を好まないビーガンが多いインドでどういった支援が適切か?

等々、様々な視点を持って栄養介入をしていくことになります。

とても興味深い点ですが、あまり個人の差がない日本の介入とは少し違うなあと感じます。

特徴③「栄養士」がない国での立ち位置は難しい

まだまだ、栄養士の資格がなかったり仕事として確立されていない国はたくさんあります。

栄養士の資格の有無よりも、栄養系の学士・修士を持っていることのほうが重要視される場合も。

nemu
nemu

私の働くカンボジアは、栄養士の国家資格がないだけではなく、人々の日々の生活の中で、栄養について考える機会はとても少ないと言えます。

日本では「栄養士監修」「栄養士のアドバイス」と言うだけで、

なんとなく理解してもらいやすくなったり、受け入れてもらいやすかったりしますが、

それが存在しない国では、「で、何ができるの?」「食べることがどう健康に繋がるの?」と

スムーズにいかないことが多々あります。

そんな中で、

まず”食べることは健康に繋がる”という意識を持ってもらうところからの啓発活動であったり、

そもそもの衛生改善や、食糧アクセスの考慮が必要だったりと、

国によって様々な介入が必要になってきます。

nemu
nemu

土台が整っていない分、やりがいもとても大きいですが、資格や認知度に支えられていないというのは、時に難しいなあと感じます。

特徴④目の前の患者さん、だけではなく国や社会の動きを追いかける視点を

外国人としてビザをもらい、外国人としての視点や立場を活かして働く場合、

日本で国家資格を持ち、臨床栄養として目の前の患者さんの栄養管理をする

という働き方と少し異なった意識づけが必要かなと感じます。

当たり前のように培って来た食文化や食環境があるわけではないため

  • この国はどんな栄養課題を抱えているのか?
  • 国はどんな介入をして、どう変えていこうとしているのか?

を追いかけることであったり

その国自体に栄養の視点があまりないのであれば、国際社会の動きはどうなのか?

と広い視野を持ち続けていくことで、その国にとって良い活動ができると感じます。

日本の栄養士養成課程であれば、公衆栄養学で特に学べる視点。公衆栄養については以下の記事でも紹介しています。

海外で栄養士になる!海外大学院で学んだ国際栄養とは?

まとめ

海外で栄養士!といっても働き方は多様で、

その地の栄養士と同じように働くスタイルもあれば、私のように栄養士がいない国で新たに作っていくスタイルも。

日本の栄養レベルって本当に高いな〜〜とどの国に住んでも感じるので、

海外で活かすチャンスがもっと増えていくといいなと感じています🍚